フリーランス放射線科医松村むつみ|医療の「あいだ」をつなぐブログ

フリーランス放射線科医、医療ライターしてます。日本の医療者、病院、患者さんたち、病気に関心のある一般の方々の、「あいだ」をうまくつなげるような、そんなブログを目指しています。ときどき社会問題も扱います。

わたしがソリッドな職場に戻らず、「パラレルワーク」を続けるわけ(1)

現在、いくつかの仕事を組み合わせて働いています。今風に言うと、パラレルワーク、と、なるかもしれません。

 

メインの仕事は、画像診断。

 

画像診断って、何するの? 耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、CTとかMRIなどの言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。

殆どの方は、学校検診や職場の検診で、「胸部レントゲン写真」を撮影したことがあるかと思いますが、それのもう少し難しいものを読影して、病気を診断するイメージでしょうか。

 

わたしはとある関東地方の大学病院であるときまで助教をしていましたが、二人目のこどもが生まれ、当初別の保育園に入らざるを得なかったこともあり、いくつかの仕事を組み合わせる形になっています。医師の世界にはアルバイトだけで生計を立てている人もいて、元同僚たちは、わたしが子育ての傍ら、アルバイトをしていて、専業主婦に毛が生えた生活を送っていると思っている人も多いようです。

 

画像診断は、病院で撮影された画像を自宅に置いた医療用モニターで読影する「遠隔画像診断」をメインにやっています。いくつかの病院や業者経由で、病院で撮像された画像が送られてきて、自宅で診断を下します。

 

専門は乳がん画像診断ですが、現在、わたしの仕事の半分強を占めています。乳がんの画像診断を行う放射線科医は全国にあまりいません。というわけで、遠隔地からも画像が送られてきて、細々とではありますが、乳がん診療に貢献させていただいています。意外に思われるかもしれませんが、フリーランスになって、専門の画像を読影する仕事の割合は、大学病院で働いていた頃よりもぐっと増えました。大学病院とか、基幹病院となるような大病院となると、専門の割合が多いのでは? という印象があるかも知れませんが、日本はすごーく病院数が多く、似たような機能の病院も多いので、症例もあちこちに散らばる傾向にあります。だから必然的に、よほど特殊な施設ではないかぎり、専門の仕事ばかりするというわけにはいきません(もちろん、例外的な施設はありますよ)。また、大きな施設になると、やはり雑用や会議は避けられません。大学にいたころ、子どものお迎えの時間があり、やむをえず「時短」をとっていたことがありましたが、雑用や、専門外の読影ばかりで、重要な仕事は何もできずに日々が過ぎていき、効率の悪さと空しさを感じていました。

 

一年半前から「フリーランス」という形になり、常勤ではないとできない仕事は多少あるものの、それほど大きな欠落をかんじずに今に至ります。都内の大学病院の症例を依頼されることもあるので、日々経験する症例のレベルも、それなりのレベルを保てますし、読影のような、患者さんを直接診察するわけではない業務の場合、「多くの施設を集約する」ような仕組みで仕事をすることで、仕事の質を上げることができるのを感じています。

 

まあ、今日はこんなところで終わりにします。読んでくださった方、ありがとうございました。次は、「研究」「コミュニティ」について、フリーランスの立場からお話ししようと思います。